かしまさんの眷属たち

アケミさん
「魔女の伝言板(近藤雅樹、高津美保子、常光徹、三原幸久、渡辺節子:編/1995年/白水社)」に名前だけが見られる現代妖怪。
「(カシマさんと)似たようなハナシ」として「アシトリミナコさん」と並べて名前を挙げられている(P124)。
 
足売りババア
大きな風呂敷を背負った老婆。
子供に「足はいるか」と聞いてくる。
「いる」と答えると足を一本つけられ、「いらない」と答えると足を一本もぎ取られる。
 
アシオルカ
Urban Legendsへの投稿にあった事例。
夜道でアシオルカに出会うと「足いるか?」と聞かれる。
「いらない」と答えると両足を切断されてしまう。
逃げようとしても、ものすごい速さで追いかけられ絶対に逃げきれない。
「いる」と答えれば助かる。
 
足取り美奈子さん
交通事故で死んだ少女の亡霊。
夢の中に何度も現れて、「右足はいらないの?」と聞いてくる。
もし、「いらない」と答えてしまうと、翌日交通事故にあい右足を失う。
足取り美奈子さんと思われる存在が現れたが、「これは私の足だからあげない!」と叫んだら消えてしまったという事例もある。
(「幻想住人録666」内の「足取り美奈子」の項を参照)
 
いるか島
「いるか島」という言葉を覚えていると、15歳を向かえた瞬間に電話がかかってきて、電話をとった途端に身体がバラバラになって死ぬ(「都市の穴(木原浩勝、市ヶ谷ハジメ、岡島正晃:著/2001年/双葉社)」P32参照)。
Urban Legendsへの投稿にも似た事例あり。
本来なら「紫の鏡」の類話であるが、「隠された『かしまさん』の十字架」との関連でこちらに紹介した。
 
イルカノアシイル
テレビ番組、「USOジャパン」のサイトに投稿されていた事例。
13歳の誕生日にかかってくる電話。
「イルカの足いる?」と聞いてくる。
「いる」と答えれば足を切られ、「いらない」と答えれば交通事故にあって死に、電話を切ってしまうと何ものかに殺される。
助かる方法は不明。
上記の「いるか島」の類話か?
 
おかむろさん
「かしまさん」とほぼ同じ属性を持つ現代妖怪。
その名前を聞くと、ちょうど半年後に「おかむろさん」が現れ、ドア、あるいは窓を数回ノックしてくる。
この時、「おかむろさん、おかむろさん、おかむろさん」と3回名前を唱えると、おかむろさんは消える。
名前を唱えなかった場合にどうなるかは不明。
 
カシマレイコ
もっとも有名な「かしまさん」の別名。
口裂け女の本名とも言われる。
よく「名神高速道路」とセットで語られているのを見かけるが、それは「魔女の伝言板(近藤雅樹、高津美保子、常光徹、三原幸久、渡辺節子:編/1995年/白水社)」に紹介された事例にのみ見られる特徴で(P122-123)、メジャーなバージョンではないことに注意されたし。
 
きじまさん
「両手両足がなく、全身包帯で、片方の目だけが見えている」という姿で現れる亡霊。
自分を轢き逃げした犯人を探しており、話を聞いた人のもとへ現れる。
「あやかし通信(大迫純一/1991年/実業之日本社)」で一躍有名となるが、「きじまさん」の名前自体は関西ローカルのかしま系現代妖怪としてそれ以前から知られていた。
おそらくは「かしまさん」が伝聞の過程で「きじまさん」と誤って伝わったものなのであろう。
 
口裂け女
言わずと知れた日本でもっとも有名な現代妖怪。
裂けた口を隠す大きなマスクがトレードマーク。
1970年代末の日本に突如として現れ、全国の子供たちを恐怖の奈落に突き落とした。
一説によると、口裂け女の本名は「カシマレイコ」というらしい。
 
首取り地蔵
関西の伝承。
仲の良い4人の若者が恐山へ旅行に出かけ、途中の山道にあったお地蔵さんのお札をはがしてしまう。
その晩、札をはがした若者が「いらん、いらん」とうなされながら寝言をいい、翌朝になると首から上が無くなって死んでいた。
あとで寺で聞いた話では、例のお地蔵さんの札をはがすと夢に老婆が現れ、「首いるか、首いるか」と聞いてくる。
この時、「いらない」と答えると、首を切られてしんでしまうのだという。
(「夢で田中にふりむくな(渡辺節子、岩倉千春:編/1996年/ジャパンタイムズ)」P148-149参照)
 
田中さん(1)
「夢で田中にふりむくな(渡辺節子、岩倉千春:編/1996年/ジャパンタイムズ)」の中にのみ見られる怪異(P13-18)。
同書によると専修大学で行われた樋口淳氏によるアンケートに寄せられた事例らしい。
赤城山へのツーリングの途中にトンネルで行方不明になった「田中」という少年が、「顔から肩から右半分がぐちゃぐちゃ」になった姿で夢の中に現れる。
「田中」は夢の中で後ろから「ポンポン」と肩を叩いてくるが、決して振り返ってはならない。
もし振り向くと事故にあい、顔がぐちゃぐちゃになって死ぬか、あるいは大怪我をしてしまう…というもの。
 
田中さん(2)
上記の話とは別タイプの田中さん。
結婚式の前日に自動車事故で死んだ女性の亡霊。
生前の苗字は「田中」で千葉県に住んでいたらしい。
この話を聞いてから3日以内に鏡をのぞくと、鏡の中に血だらけのウエディングドレスを着て、顔の半分がぐちゃぐちゃにつぶれた田中さんが現れる。
田中さんは3つの質問をしてくるが、この問い全てに正確に答えないと田中さんに腕を引っ張られ、どこか別の世界に連れ去られてしまうという。
 
テケテケ
パタパタ、シャカシャカ、テクテク、コツコツ、肘子さん、肘かけ女、肘かけババア、コツコツババアなど別名多数。
上半身だけの人間。
主に若い女、次いで老婆の事例が多い。
普通の人間と思わせておいて、急にその姿を現し驚かせるもの、夜道や学校などであとをつけてくるもの、道路を高速で走り車を追い抜くものの3タイプが存在する。
追いかけられてつかまった場合、隠し持った鎌で下半身を切断され、テケテケの仲間にされてしまうとも言われている。
 
ババサレ(婆去れ)
バーサレとも言う。
手に鎌を持つ、白髪を振り乱した老婆の妖怪。
この話を聞くと一週間以内にババサレが現れ、手にした鎌で首を刈られてしまう。
ただし、「ババサレ、ババサレ、ババサレ」と三度唱えれば消える。
 
バファーサル
Urban Legendsへの投稿にあった事例。
真っ赤な目をし、血の混じったよだれを垂らす老婆。
隠し持った鎌で子供を襲い、首を刈る。
「バファーサル、バファーサル、バファーサル」と三度唱えることで追い払える。
おそらくは「ババサレ(ババーサレ)」が伝聞過程で変形したもの。
 

文責・ひろし

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